晴れのち曇り ときどき溺愛
 ラーメンは嫌いじゃない。ただ、お見合いの席で連れてこられて驚いただけ。普通のラーメンは大丈夫だけど、熱を脂の膜で閉じ込めるタイプはスープが熱すぎて時間が掛かる。

「すみません。玲奈さんの反応を見たくて意地悪をしてしまいました。予約している店はここではないです。ここもかなり美味しいからオススメです。一度行ってみてくださいね」


「そうなのですか?」

「はい。是非行ってみてください。私もよく行くんですよ。今日の予約の店はここから少し歩いた場所にあるのがその店なんですが、前に会社の関係で使った時には本当に美味しかったのでそこにしました。」


 ラーメン屋を離れ、進藤さんが連れて行ってくれたのは綺麗で素敵な女の子が好きそうな店だった。漆喰の白と経年し漆黒に色を変えた木の美しさが際立つその店はホテルの中にある和食処ほど敷居は高くないけど、意趣に拘りがある雰囲気だった。


「どうぞ」

「ありがとうございます」

 綺麗な微笑みを浮かべ進藤さんはゆっくりとドアを開けてくれた。こんな風に男の人にドアを開けて貰ったことは無いからドキドキしてしまう。上流階級の人はこんなにも動きがスマートなのだと感心してしまう。


 そして、ドアを開けて入った空間の広さに自然と目を見開いてしまった。
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