晴れのち曇り ときどき溺愛
 いつもブラックを飲んでいる人が砂糖とミルク入りのコーヒーを飲むと甘いと思う。かなり砂糖は控えめにしたけど下坂さんにはそれでも甘かったみたいだった。


「砂糖は控えめには淹れたのですが」

「ありがとう。これでいいよ。甘いものが欲しくなったのは頭を使い過ぎたせいかもしれない。面倒な問題が色々と起きてくる」

「そうなんですか?」

「会社が合併して一か月だろ。会社内のあちらこちらで問題が起きている。特に人事関係は最たるもので人の能力が分からない状況で配置をしているから、部署によっては足りなかったり、多すぎたりしている。ウチの課はこれで今くらいの人数がちょうどいいのに、人数の関係で受け入れないといけないかもしれない」


 まだ私のように戦力とは言い難い人員がこれ以上増えるとこの課にとっては困るのだろう。


「この課から移動もありますか?」

「いや、ウチの課はどちらかというと受け入れる方向だと思う」


 この課に誰か入ってきたら、今のような生活はまた変わってくるだろう。


「下坂さんは増えた方が嬉しいですか?」

「いや。私は今のこのメンバーで十分に成績を残しているからこのままでいいけど、上の考えではそうではないらしい」
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