晴れのち曇り ときどき溺愛
 見城さんに頼まれていた資料作成は殆ど終わっている。誤字脱字や文章の校正をが済めば頼まれていた資料と一緒にメールで送ればいいだけにはなっていた。


「殆ど終わりました。文字の校正をしてから送ります」


「諸住さんが確認するよりも自分でした方が効率がいいから今出来ている部分でいいのでメールに添付して送って」

「わかりました。すぐに送ります」


 資料をデータ化して見城さんのパソコンのメールに送ると、見城さんは視線をパソコン画面から外すことなく、手を軽く上げ、オッケーマークを作る。パソコンのシステムを組んでいる時は見城さんは誰とも話さない。殆どがジェスチャーで、コーヒーがいるかどうかも聞いてもオッケーマークを指で作ることもあれば、いらない時は軽く手を振る。最初は違和感を覚えたけどそれにも慣れた。


 見城さんから頼まれた仕事が一段落した頃のことだった。営業室で仕事をしていた下坂さんは何かを思い出したかのように声を出した。


「諸住さん。明日の午後一時から客先に行くから同行して貰うからそのつもりで」 
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