晴れのち曇り ときどき溺愛
『困ったことが起きたら全部俺が責任を持つ』


 そんな強い言葉に胸の奥がまたジワジワと疼く。普段は何もなかったかのように胸の奥に抑えこんでいるものが、ポンと蓋が飛ぶように溢れてくる。下坂さんの芯の強さが言葉となって現れる時、私の中で言葉にならない気持ちが増えていく。


「読んでおく資料はありますか?」

「明日の朝、諸住さんの机の上に資料のファイルを置いておくから午前中の間にそれに目を通してくれたら間に合うよ」

「わかりました。では、お先に失礼します」

「お疲れさま」


 自分の席に戻ると、さっきと変わらない雰囲気の井上さんは会議室から出てきた私を見てニッコリと笑った。井上さんがこの『同行』の原因だとは思わなかった。


「井上さん。あの、下坂さんに私を同行に連れていくように言われましたか?」

「うん。言ったよ。諸住さんなら一緒に連れていっても大丈夫って」

「なんでそんなことを言ったのですか?私にはまだ早いと思います」


「それを決めるのは諸住さんではないよ。指導員である俺は大丈夫だと思ったし、その報告を聞いた室長も諸住さんなら大丈夫と思って決めた。諸住さんは営業補佐となっているけど営業と変わらないよ大口の優良な取引先だから頑張ってね」


 井上さんも下坂さんも過大評価しすぎだ。
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