晴れのち曇り ときどき溺愛
 会社を出た私は真っ直ぐに自分のマンションの部屋に帰る気にならず、落ち着かない気持ちがどうしようもなく溢れていた。


 コンビニで何か買って帰ろうかと思ったけど、ワンルームの部屋でコンビニ弁当を食べる自分を想像して、それを打ち消すように首を横に振る。美味しいものを食べて帰ろうと思った。一人でも楽しめる店はたくさんある。


 淡く夜の賑わいを纏い始めた夕刻。お洒落な店の集まる通りには会社帰りの私と同じような女の子が連れ立って歩いている。楽しそうな女の子たちを見ながら玲奈を誘えばよかったと思った。


 私が行こうと思った店は会社から少し離れた場所にあり、ワンプレートのランチやデザートなどが揃う女の子に人気のあるカフェだった。でも、夜になると美味しいお酒とおつまみを出すバルに変わる。ワインの種類が豊富なのと創作された料理は美味しい。


 真っ白な塗り壁に、剥き出しの梁はマホガニー色に塗られていてあり、落ち着いた装飾の店内には端々に南欧を思わせる装飾品が置かれている。大人数で楽しめるテーブル席もあるけど、一人でも楽しめるようなカウンター席もある。予約はしてないけど、一人くらいは入れるだろう。
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