晴れのち曇り ときどき溺愛
私は少しの酔いに満たされ、会社を出る時までに感じていた不安は少しだけ落ち着いた。自分の中での不安を解消するのにビールやワインは薬のように私を緩めてくれ、そして、楽しく時間を過ごした私が店を出る頃には辺りはすっかりと暗くなっていた。
お酒も美味しかったし、お料理も美味しかった。色々な料理の話やお酒の話をカウンター越しに話もして楽しかった。ここから駅まで歩くのはいい酔い覚ましになるだろう。
もう少し遅い時間になると会社帰りの男の人が溢れる時間だから、その前に電車に乗りたい。そんなことを思いながら駅までの道を歩いている時のことだった。
「諸住さん」
不意に後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとそこには下坂さんがいた。
「こんばんは」
自分の口から出た言葉の間抜けさに焦る。外で上司に会ったら、『お疲れ様です』だと頭の中で繰り返す。でも、口から出た言葉は取り消せない。
「こんばんはって…。何でこんな時間に?一人?」
「あ、はい。食事をして帰るところです」
「一人で?」
「あ、はい。一人です」
「送る」
「え?」
「大丈夫です。まだ十時前ですし」
お酒も美味しかったし、お料理も美味しかった。色々な料理の話やお酒の話をカウンター越しに話もして楽しかった。ここから駅まで歩くのはいい酔い覚ましになるだろう。
もう少し遅い時間になると会社帰りの男の人が溢れる時間だから、その前に電車に乗りたい。そんなことを思いながら駅までの道を歩いている時のことだった。
「諸住さん」
不意に後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り向くとそこには下坂さんがいた。
「こんばんは」
自分の口から出た言葉の間抜けさに焦る。外で上司に会ったら、『お疲れ様です』だと頭の中で繰り返す。でも、口から出た言葉は取り消せない。
「こんばんはって…。何でこんな時間に?一人?」
「あ、はい。食事をして帰るところです」
「一人で?」
「あ、はい。一人です」
「送る」
「え?」
「大丈夫です。まだ十時前ですし」