晴れのち曇り ときどき溺愛
「迷惑でないなら送る。もしも、諸住さんに何かあったら俺が嫌だから。駅でよかったよね」
「はい」
私の横には下坂さんが歩いている。私のことに気を使っているのか、色々な話をしてくれる。それは仕事の話ではなく、居酒屋で話すようなどうでもいい様な話だった。下坂さんは何も考えずに、ただ、頭に思い浮かんだものを話しているという感じで、駅で電車に乗った瞬間、呟くように聞こえたのは私に言ったのか独り言なのか分からないような小さな声だった。
「こうやって歩くのは一番最初に会った時以来か」
「え?」
駅の中は会社帰りの男の人で溢れている。この時間を避けたくて、少し早目に店を出たのに、下坂さんと話している間に苦手な時間になってしまった。この時間の電車は朝のラッシュ時に負けないくらいの人混みで、ドアの辺りの場所を死守しないと流される。
「人が多いな」
「そうですね」
今日の私は運がよく、上手くドアの近くに場所を取ることが出来、右側の手摺り棒も掴まえることも出来たので、このまま少し時間が過ぎれば楽になると息を止める。
でも、真横には下坂さんがいる。人混みだから私の左手は下坂さんの腕に当たっている。スーツ越しの温もりが私をドキドキさせる。私は触れないようにドアの方に一歩動くと、私と下坂さんの間には少しだけの隙間が空いた。私はドアの方を見ていると、電車のドアのガラス越しに下坂さんと目が合ってしまった。
「はい」
私の横には下坂さんが歩いている。私のことに気を使っているのか、色々な話をしてくれる。それは仕事の話ではなく、居酒屋で話すようなどうでもいい様な話だった。下坂さんは何も考えずに、ただ、頭に思い浮かんだものを話しているという感じで、駅で電車に乗った瞬間、呟くように聞こえたのは私に言ったのか独り言なのか分からないような小さな声だった。
「こうやって歩くのは一番最初に会った時以来か」
「え?」
駅の中は会社帰りの男の人で溢れている。この時間を避けたくて、少し早目に店を出たのに、下坂さんと話している間に苦手な時間になってしまった。この時間の電車は朝のラッシュ時に負けないくらいの人混みで、ドアの辺りの場所を死守しないと流される。
「人が多いな」
「そうですね」
今日の私は運がよく、上手くドアの近くに場所を取ることが出来、右側の手摺り棒も掴まえることも出来たので、このまま少し時間が過ぎれば楽になると息を止める。
でも、真横には下坂さんがいる。人混みだから私の左手は下坂さんの腕に当たっている。スーツ越しの温もりが私をドキドキさせる。私は触れないようにドアの方に一歩動くと、私と下坂さんの間には少しだけの隙間が空いた。私はドアの方を見ていると、電車のドアのガラス越しに下坂さんと目が合ってしまった。