晴れのち曇り ときどき溺愛

可愛い人

　営業部システム開発部に配属されて三か月が経っていた。

　
　自分で資料の内容を読み取ることも出来るし、簡単な案件なら一人で営業に向かうこともあった。最初は一人では営業には行かせないつもりだったと井上さんは笑うけど、この三か月で私は営業補佐から営業になり、優良な先のみ自分だけで訪問することも許されている。


　最初はコピーとお茶くみしか出来なかったのに、今では井上さんの教育と同行で培った営業を行うことが出来るようになっていた。

　
　そして、私は下坂さんと一緒に同行していると仕事の鋭さに憧れ、優しさに触れ、胸の奥にある思いがどうしようもないほどの膨らみ、私は自分の恋を自覚している。


「好きだと思う」


　でも、下坂さんにとって私はただの部下に他ならない。


　それはある昼休みのこと。私は仕事が一段落してコーヒーを飲んでいると、自分の仕事の飽きたのか私に話し掛けてきたのは斉藤さんだった。


「ねえ、梨佳ちゃん。知ってる？この課に新しく社員が他の課から入ってくるって」


　下坂さんにに少しだけその話は聞いたことがあったけど、それはかなり前のことで私はそのことを忘れてしまっていた。でも、斉藤さんの話からするともう決まったことなのかもしれない。


「前に聞いたことあるけど、忘れていた」

「俺は何があっても梨佳ちゃんの味方だから」

「どういう意味？」
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