晴れのち曇り ときどき溺愛
「ありがとうございます。でも、この辺りが少し気になって」
私が書類の一部を指差すと、見城さんは自分の手に持っていた書類を机に置き、私の作っていた書類に眉間に皺を寄せる。難しい顔をしているけど、時折、前後を捲ったりして、何か考えているようだった。人差し指を器用に使いボールペンを回していたが、それをキュッと止めたかと思うと、真っ直ぐに私を見つめてきた。
「諸住さんの資料に書き込んでいい?」
「それは構いませんが、気になっているところはどうにかなりますか?」
「多分」
見城さんはボールペンを机に置くと机から赤のペンを取り出しで資料に何か書き込みを始める。しばらくして自分の所に資料が戻ってきた時には、数字や記号が余白に所狭しと埋まっていた。見城さんらしく、流れるように綺麗な文字と数字だった。
「この方がスムーズに動くと思う。諸住さんのも基本的には間違いじゃない。井上さんのレクチャー通りに出来ている。でも、こっちの方が融通が利く」
習ったことで作られたものが長年の経験で磨かれたとでも言うべきか、実際にパソコンに入れてみると本当にスムーズに展開していく。私が習ったものは基本、見城さんの教えてくれたのは応用ということ。
「ありがとうございます」
「基本が出来れば、後は経験を積んでいくだけ。斉藤も井上さんに教えて貰った後に俺が教えた。ただ、俺は井上さんよりも厳しい」
私が書類の一部を指差すと、見城さんは自分の手に持っていた書類を机に置き、私の作っていた書類に眉間に皺を寄せる。難しい顔をしているけど、時折、前後を捲ったりして、何か考えているようだった。人差し指を器用に使いボールペンを回していたが、それをキュッと止めたかと思うと、真っ直ぐに私を見つめてきた。
「諸住さんの資料に書き込んでいい?」
「それは構いませんが、気になっているところはどうにかなりますか?」
「多分」
見城さんはボールペンを机に置くと机から赤のペンを取り出しで資料に何か書き込みを始める。しばらくして自分の所に資料が戻ってきた時には、数字や記号が余白に所狭しと埋まっていた。見城さんらしく、流れるように綺麗な文字と数字だった。
「この方がスムーズに動くと思う。諸住さんのも基本的には間違いじゃない。井上さんのレクチャー通りに出来ている。でも、こっちの方が融通が利く」
習ったことで作られたものが長年の経験で磨かれたとでも言うべきか、実際にパソコンに入れてみると本当にスムーズに展開していく。私が習ったものは基本、見城さんの教えてくれたのは応用ということ。
「ありがとうございます」
「基本が出来れば、後は経験を積んでいくだけ。斉藤も井上さんに教えて貰った後に俺が教えた。ただ、俺は井上さんよりも厳しい」