晴れのち曇り ときどき溺愛
 この三か月の間に私は少しだけ成長出来たと思う。それは自分だけの自己満足でもいいと思っていたけど、この課の人はきちんと評価してくれる。この課の人は仕事が出来る。その人たちに認められたいと思う。


 私の成長は小学校でいうと一年生が二年生に進級したというくらいのこと。

 そして私はシステム課の『営業補佐』から、正式にシステム課の『営業』に辞令が下りていた。

 正式に得意先の担当も持っているし、補佐が抜けたからと言って仕事の内容が大幅に変わったわけでもなく、少しだけ仕事の出来る範囲が増えただけだった。


「ありがとうございます」

「厳しいと言って、ありがとうと言われても微妙なんだけど」

「厳しくてもいいので色々と教えて貰いたいです」

「即戦力になって貰いたいしね。それと、厳しくてもいいというのはまだ表面の俺しか知らないからだよ。ま、期待してて」


 それは期待するとは大見栄を張るわけにもいかない。見城さんの本気がどのくらいか分からないけど、私はそれについていくしかない。出来ることから始めるしかないというのは分かっているけど、見城さんの綺麗過ぎる微笑みは少しだけ背中を冷たくする。


「あまり期待せずにいます。でも頑張ります」


 私がそう言うと見城さんは満足げに頷いた。


「期待してる」

「ありがとうございます」
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