晴れのち曇り ときどき溺愛
 進藤さんの言葉にホッとしてしまった。玲奈も断り切れずのお見合いだったけど、進藤さんも同じように断り切れずのお見合いだった。そう思うと目の前の進藤さんを真っ直ぐに見れた気がした。鋭く見えた瞳も今は優しげに彩られている。


 最初に出会った時はとても端正な顔をしているセレブリティな人だというイメージだった。ラーメン屋にいきなり連れていくような、人の反応を見るような少し意地悪なところもあり、今は素直に私に本心を見せる。本当の進藤さんはどんな人なんだろう。興味は沸くけど、その興味はきっと満たされることはない。

「ワイン好きです。でもなんでロゼですか?進藤さんなら赤とかを飲みそうなのに」

「女の子はロゼが好きな子が多いから」

「女の子に詳しいのですね」

「その辺はノーコメントで」


 もう会うことがないと割り切ったからか、そんな進藤さんの言葉にクスクスと笑う私がいる。


「ロゼワインは好きですよ。これ、飲み終わったら私も少し貰っていいですか?」

「勿論です。楽しみましょう」


 進藤さんは気さくでとてもいい人だった。玲奈がこのお見合いをしていたら、何の障害もなく結婚したのかもしれない。お互いに義理でのお見合いであったとしても恋は始まったかもしれない。私が玲奈ならどうしたのだろう。恋をしただろうか?

「一人で飲むのは苦手だから玲奈さんが付きあってくれると嬉しいです。一人でも飲めるけど一緒に飲む方が美味しい」

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