晴れのち曇り ときどき溺愛
 一緒に?さっき、進藤さんのランチの誘いを断ってなかった?


「迷惑ではないですが、私が一緒でもいいですか?」

「こちらが誘っているのに、迷惑ってことはないだろ。サンドイッチなら出来立ての方が断然美味しいしね。さ、行こうか?」

「……」


 頷くことしか出来ない私は下坂さんの後をついて歩き出すと、廊下には同じように昼休みを取り、食事に向かう人の流れが出来ていた。チラチラと向けられる甘い視線は下坂さんに向けられている。でも、当の本人は全く気にしていないのか気付いてないのか?そして、そんな甘い視線の合間に鋭い視線が含まれている。


 その視線は『なんで一緒に歩いているの?』とでも言いたげなもので、特に綺麗な女の人の視線は怖いくらいだった。下坂さんは端正な顔立ちに均整の取れた体躯をしていた。意思の強そうな瞳に鼻筋はスッと通っていて、薄い唇は知的さを醸し出している。その上にシステム課室長として仕事が出来るとなると、女の子の視線が甘くなるのも当たり前なのかもしれない。


『憧れるのも分かる』


 真っ直ぐに歩く背中を見つめながらそんなことを考えていた。

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