晴れのち曇り ときどき溺愛
「取引先のパーティがあって、ウチの開発したシステムを導入してくれたところからの招待された。外国の方が集まるパーティなので女性同伴が望ましいので、申し訳ないが諸住さんが一緒に行って貰えないだろうか?」


 目の前に出された招待状の封筒をそっと開けるとオフホワイトの紙に型押しを施された結婚式の招待状のようなものが出てきた。


『株式会社アンバサダー創立記念パーティのご案内』とあり、日時、場所と書いてある。日時は一週間後で、場所は都内の高級ホテルだった。株式会社アンバサダーは合併してから一番最初にこの課で請け負った仕事だったと思う。担当は下坂さんと見城さんで私は資料のコピーをした程度だった。

 この取引はかなりの売上になったと聞いている。そんな大事な取引先からの招待なら断ることは出来ないだろう。


「私がですか?秘書課に居た進藤さんの方がいいと思うのですが」


 企業間のパーティには秘書課にいた進藤さんが適任だと思う。パーティにも出席したこともあるだろう。それなのに一般人の私が頼まれる理由が知りたかった。


「進藤さんは事情があって、一緒に出席すると面倒なことになる。仕事で行くのにそれだけではなくなるのは困る」

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