晴れのち曇り ときどき溺愛
 システム課ではミーティングなどは定時後に行わないようにしてある。でも、今回は定時後。珍しいと思ったけど、下坂さんも忙しいのだろう。見城さんもその時間でいいなら私に異存はない。


「わかりました。明後日の定時後で大丈夫です。それでは失礼します」

「ああ。頼む」


 私は頭を下げてから応接室を出ると、進藤さんが心配そうな表情で私を見つめていた。そんなに心配そうな顔をしないでも私は進藤さんの婚約者に手を出したりはしません。

 私はただ淡々と自分の仕事をするだけ。明後日の定時後のミーティングまで時間はなかった。

 自分の席に座るとパソコンの途中までだったものを画面に写し、仕事を始めた。見城さんはどこかに出かけているようで、営業室には私と進藤さんだけが居た。進藤さんは私に何か話したいみたいだったけど、それを遮ったのは下坂さんだった。


「進藤さん。ちょっといいかな?」


 応接室のドアが少し開き、下坂さんが進藤さんを呼ぶと、進藤さんは小さく溜め息を零してから応接室に入って行ったのだった。仕事をしながらも応接室の事が気になる。


「はい」


 進藤さんは応接室の中に入っていくと、しばらくして笑い声が漏れてきた。とても楽しそうな雰囲気に私はキーボードの上で指が動かなくなってしまった。
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