晴れのち曇り ときどき溺愛
「諸住さん。この間渡した資料読んだ?分からないところはない?」


 聞いてきたのは見城さんで、今日の定時後にあるミーティングの為の確認だった。私はパーティの服のことも心配だったけど、朝、出社してから仕事が優先ということで資料は読んだし、プロジェクトの内容もしっかりと調べている。でも、システムの構築となるとまだ、何も頭の中には浮かんでなかった。この辺りがまだ私の至らないところである。


「資料は分かりました。でも、システムの構築の進め方はまだわかりません。いくつかは考えてみたのですが、これで合っているのか自信はありませんが」

「今日は資料を読んでいるだけで十分だよ。システム構築は室長が主にされるから、俺と諸住さんはアシスタントでいいと思う。諸住さんは室長と一緒に仕事をするのは初めてだよね」

「はい。同行はしたことありますが」

「室長は優しいけど、仕事となるとかなり厳しいから覚悟をしておいた方がいい。今日のミーティングも顔見世とかいう軽いもんじゃないだろうし」

「そうなんですか?」

「多分、俺なんて室長に比べたら『天使』だと思うよ」


 見城さんもかなりのドSで、私は日々『鬼』だと思っている。でも、その上を行くって本当なのだろうか?男の人と女の人を区別するような人ではないので、見城さんの言葉が本当だったら背筋が凍るだけでは済まない。


< 196 / 361 >

この作品をシェア

pagetop