晴れのち曇り ときどき溺愛
 結婚のお祝いにギャルソンエプロンだなんて思いつきもしなかった。女の子の結婚のお祝いならともかく、男の人に送るのはある意味、主婦の目線からの圧ではある。

 男も料理くらいしろと。


「野菜炒めくらいは出来るけど、それ以外は無理。材料を無駄にする」

「自炊してないの?」

「今は彼女と一緒に住んでいるから殆ど作って貰ってる。でも、その前はコンビニとか惣菜だった。外食は疲れるから自分の部屋で簡単に済ますことが多い」

「琉生は?」

「あ、俺は女いないから、コンビニと惣菜と外食かな。梨佳は?」


 この流れで、私も拳や琉生と同じなんて言えなかった。さすがに料理は少しは出来るけど、今は仕事も忙しいし、コンビニの有難味を感じている身だった。でも、この仲間内で嘘で取り繕う必要もない。


「私も似たようなもの。作れないことはないけど」

「食は身体の基本よ仕事を頑張るのもいいけど、きちんと食べてね」


 主婦でお母さんの遥の前では私達三人は素直に返事するしかなかった。


 その後、会計を済ませて店を出ると、拳が遥を家までタクシーで送るということになり、私は琉生と一緒に駅に向かうことにした。まだ最終までは時間があるので、遥ほど時間に厳しくない私と琉生は電車で帰ることにした。


「仕事忙しいのか」

「システム課って今までとは全く違う形態を取っているから分からないことだらけ」
< 206 / 361 >

この作品をシェア

pagetop