晴れのち曇り ときどき溺愛
 私の周りを美容師さんやメイク専門の人が忙しく動き、私は座っているだけだった。『あまり目立たなようにしてください』という私のお願いは綺麗に流され、これくらいした方が映えるからと言い負かされ、ピンクと白のガーベラのような花で飾られたパールの髪飾りでヘアセットの最後の締めになった。


「こちらにお越しください。お着替えの手伝いをさせて貰います」


 本当は自分だけで着替えたいけど、どうしてもドレスの後ろの一番上のボタンは自分で留めることが出来ない。それは営業室で初めて着た時から分かっていた。


 あの時は髪を後ろに結んだだけだったので隠すことが出来たけど、今回は髪を上げているのできちんとボタンを留めないといけない。可愛らしいくるみボタンは誰かの手を借りないと留められないようになっていた。


 肩から上はばっちりメイクの私。肩から下はシンプルな白のシャツにデニムのスカートというカジュアルな普段着だった。


『必ず前開きのシャツを着て来てください』と言われていたので、言われたままの格好で来た。鏡の中の自分を見て凄いと思う反面、パーティが始まる前から疲れ切っていた。
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