晴れのち曇り ときどき溺愛
「絵里菜。相変わらず煩い。お前のそのテンションで話したら、きちんと挨拶が出来ないだろ。初めまして。私は絵里菜の兄で春臣の高校からの友人の進藤隆二と申します。秘書課から絵里菜が移動してきてかなりご迷惑をお掛けしていると思ってます」


 絵里菜さんのいきなりの結婚発言にも、お姉さま発言にも驚いた。何がどうなったら、そんな風に話が突飛な方向に行ってしまうのだろう。隆二さんに窘められても、絵里菜さんは全く気にせずに私の手を取ってニッコリと笑う。


 隆二さんは仕方ないなぁという雰囲気を零しながら私の方を見たので私も少しだけ会釈すると、下坂さんは私の腰にゆっくりと手を回すと隆二さんの方を真っ直ぐに見詰めた。私はいきなりの下坂さんの行動にドキドキするばかりで、その手をチラッと見た隆二さんはクスッと笑って、下坂さんを見つめた。


「隆二。絵里菜から聞いていると思うがこちらが諸住梨佳さん。合併前は営業だったけど、合併後は営業補佐から三か月で営業のランクまで自分の力で上った人だよ。今度の新しいプロジェクトも一緒にする」

「見城さんと一緒のアレ?そりゃすごい」

「初めまして、諸住梨佳と申します。よろしくお願いします」
< 230 / 361 >

この作品をシェア

pagetop