晴れのち曇り ときどき溺愛
「諸住さん。どうする?」


「それでは先に帰らせて貰おうかと思います。その方が室長も私のことを気にせずに仕事の話が出来ますよね」


「分かった。本当に申し訳ない」


「大丈夫です」

 
 ここまで来たのも一人で来たし、帰るのも子どもじゃないから一人で大丈夫。下坂さんは優しいから、このパーティに連れてきたこと。そして、仕事の話で私を置いていくことに躊躇しているのは分かる。かといって私が下坂さんに付いていってもきっと何も分からないだろう。


「それなら梨佳さんは私とデザートを一緒に食べてからタクシー乗り場まで送るから、春くんは仕事頑張ってね」


「ああ。諸住さんのことを頼むな」


「もちろんよ」


 絵里菜さんがそういうと下坂さんは長田さんと一緒に行ってしまった。その後ろ姿を見ながら、寂しいと少しだけ思ったけど、仕事なら何も言えない。一緒にいた時間が楽しかった分、傍に進藤さんと絵里菜さんがいるのに一人ぼっちになってしまった気がした。


「さ、梨佳さん。何を食べましょうか。このホテルのデザートは美味しいんですよ」


「デザートもですが、進藤さんと絵里菜さんもあちこちに挨拶しないといけないのではないですか?私は大丈夫ですから、遠慮されずに行かれてくださいね」


「そうですね。どうしても挨拶に行かないといけない人が来たら、申し訳ないですが、諸住さんを一人にしますね。ですので、私と絵里菜には気にしないでパーティを楽しんでください」
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