晴れのち曇り ときどき溺愛
 そこまで言われて『今から一人で帰ります』とは言えなくなってしまった。そして、流されるように絵里菜さんと一緒にデザートの置いてあるテーブルに行くとそこに並ぶ豪華でそれでいて美味しそうケーキやデザート、フルーツが目に入ると顔が緩む。緊張しているのに女というものは甘いものに弱い。


「悩みますよね。全部食べたくなる」


 そう言ったのは絵里菜さんで、この細い身体のどこにそんなに入るのだろうと思うくらいに、お皿の上にはバラエティに富んだデザートが乗っていて、そのお皿を見た進藤さんは眉間に皺を寄せた。


「相変わらずだな」

「お兄様には関係ないでしょ」

「諸住さんはそれだけでいいの?」


 確かに私のお皿には絵里菜さんのお皿よりは少ない量のデザートが乗っている。でも、私にしては多い方で、横でデザートを取る絵里菜さんに釣られたようなものだった。でも、最後まで全部食べたらきっと動けなくなるかもしれない。


「はい。どれも美味しそうですから迷いました」

「それならよかった。コーヒーを頼んできますから、絵里菜と先に行って座ってくださいね」

「はい」

 
 絵里菜さんと一緒にテーブルに向かって歩いていると、絵里菜さんはクスクス笑いだした。何がそんなに可笑しいのか分からないけど、絵里菜さんは嬉しそうだった。


「何がそんなに可笑しいの?」

「お兄様よ」

「進藤さんの何が?」
< 235 / 361 >

この作品をシェア

pagetop