晴れのち曇り ときどき溺愛
「ありがとうございます。座らせて貰います」

「その方がいいです。諸住さんは春臣が気になりますか?」

「気になるというか、仕事は大変だと思って」


 視線の先にいる下坂さんは長田さんと一緒にシステムの話に行っている。何を言っているのか私には聞こえないけど、それでも相手の雰囲気を見るだけで十分に下坂さんに興味を持っているように見えた。


「春臣なら大丈夫です。このような席にも慣れているし、仕事の面での春臣のことを諸住さんの方がよく知っているでしょ。きっと、長田の持ってきた話を契約に結び付けるでしょう」

「お兄様は商談をしなくていいの?行きたいなら行って来ればいいじゃない。春くんも頑張っているんだし」


 既に座ってコーヒーを飲みながらお皿に山盛りのデザートをニコニコしながら口に運んでいる絵里菜さんは美味しさに顔を緩めながら言う。


「今日はしないよ。絵里菜を一人にするととんでもないことが起こりそうで怖いし、そのことで父に怒られるのも真っ平だから」

「絵里菜さんのことだったら私も一緒にいるから大丈夫ですよ。もし、何かあれば、行かれてくださいね」


 私がそういうと、進藤さんは少し困ったように笑った。


「今日は絶対に無理ですね。絵里菜だけでなく諸住さんも一緒なら男が寄りすぎますよ。実際にこのパーティには独身の適齢期の男性が多く参加しています。絵里菜は今のところ決まった人も居ないし、色々な面での出会いを求めている人もいるので」

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