晴れのち曇り ときどき溺愛
 進藤さんが言っている意味は、絵里菜さんには当てはまると思う。でも、私は関係ないとは思った。今日は少し綺麗に着飾っているけど、普段の私は一般の会社員で、今日は女性同伴のパーティだからと言って一緒に参加している。それだけの私と絵里菜さんは違う。


 絵里菜さんはドレスの着こなしだけでなく、すらっと伸びた姿勢が育ちの良さを感じさせる。会社ではそうは感じなかったけど、一緒に居て本当に楽しい人だと思った。気さくで優しいだけでなく自分の意見を真っ直ぐに持っていて、眩かった。


 秘書課にいて、スラリと洗練されたと印象はあった。でも、私は今の絵里菜さんが好きだと思う。


 でも、絵里菜さんは下坂さんの婚約者だと私は聞いている。何で進藤さんは決まった人も居ないというのだろうか?


 下坂さんと絵里菜さんの関係は隠している関係なのかもしれない。大会社の御令嬢の婚約者だというのが一般的に知られてしまうと、不都合なことがあるのだろう。そう思うとフッと何かがストンと落ちて納得できるものだった。


「色々あるのですね」

「そうですが、でも、今日は私が居ますので多分大丈夫だと思います」

「そうね。お兄様にはきちんと虫除けして貰わないと、面倒だもの」


 三人で話しながらデザートを楽しんでいると、そこに現れたのは三人の男の人だった。下坂さんと進藤さんと同じくらいの年齢の人で、同じような育ちの良さを醸し出していた。


「隆二。絵里菜さん。久しぶりだな。元気にしていたか?」
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