晴れのち曇り ときどき溺愛

パーティの後の思い

 三人の登場に進藤さんはニッコリと笑った。その微笑みはとっても穏やかで洗練されているが人を寄せ付けない雰囲気を醸し出していた。さすがにそれを相手には悟らせてなく、三人は進藤さんの微笑みに顔を緩めていた。


「ああ、久しぶりだな。どうしていた?」


 話し出したのは三人の真ん中に居る人で、一際、強い視線を向ける人だった。それは進藤さんだけでなく、絵里菜さんや私にまで向けられている。特に絵里菜さんに向けられる視線はにこやかな微笑みの向こうに何かどぎつさを感じさせる。さっき、進藤さんが言っていた『絵里菜さんを一人に出来ない理由』かもしれない。


 当の絵里菜さんはチラッと見て、軽く会釈はするものの立ち上がる気配はなかった。それどころかニッコリと余所行きの微笑みを浮かべる。


 進藤さんと絵里菜さんは兄妹だけあって似ている。


「アメリカとヨーロッパを行き来してて、今日は珍しく日本に居たから、長田のパーティに参加することにしたんだ。挨拶をして回るのに疲れてしまったよ。そうしたら、隆二が絵里菜さんともう一人可愛い女性と楽しそうにしているので挨拶しようかと思って」

「今日は長田の大事なパーティだから何を置いても参加するつもりだったよ」


 珍しく日本に居たから参加したお前とは違うと進藤さんは言外に言っていた。でも、それに気付くことなく、その人は言葉を続けた。

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