晴れのち曇り ときどき溺愛

　琉生は一生懸命で優しい。仕事は出来るし上司からの信頼も厚く、悔しいけど営業成績はいつも琉生の方がよくて、私がいくら頑張っても追い越すことが出来なかった。琉生は人との間にある壁が極端に薄い。『二回会ったら友達になれる』という性格は上司にとっては可愛くて仕方のない存在らしい。


　琉生を中心に皆を名前で呼びだした。そのうち、それ全員に伝染していき、苗字ではなく名前で呼ぶことに抵抗を感じたけど慣れると親密感が増した。

　そんな琉生といると居心地のいいのは確かだった。


「金欠大丈夫？」

「その辺は心配しないでいい。多分」

「なら、行こうかな。別件で話もあるし」

「何？」

「拳がもしかしたら結婚するかもしれないって遥からメールが来た」

「は？それなんだよ」

「拳の会社の社員の一人と付き合いだしたらしく拳の性格からして中途半端はしないだろうって」

「なるほど、それは遥の意見に納得。じゃ、その話も仕事が終わってから」