晴れのち曇り ときどき溺愛
「そちらの方は?」

 
 絵里菜さんに熱視線を送るついでに私の存在にも気付いたようだった。何と応えたらいいのだろうかと頭の中で考えていた。この人に下坂さんと一緒に来ていると言うべきか、言わない方がいいのか。この人と下坂さん、進藤さんの関係が分からない。


「絵里菜の友達で俺にとっても大事な人だよ。諸住さんと言って、今は絵里菜と一緒に春臣の会社で勤めている」


「それは失礼した。初めまして、私はクローバーインターナショナルの四葉とも申します。これからもどこかで会うかもしれませんね。それにしてもとっても可愛らしい方ですね。隆二にお似合いです。春臣の会社はまだ合併したばかりで安定してませんよね。よかったら、絵里菜さんと一緒にウチの会社に来ますか?秘書課に空きがあります」

「いえ、今の仕事で毎日楽しいですから」


 さっき、似たようなことを進藤さんにも言われた。でも、こんな嫌な気持ちにはならなかった。四葉さんの言葉には傲慢さが滲み出ていて、進藤さんとは全く違った。


「それは残念。では、絵里菜さんはどうですか?私の秘書になりませんか?不自由はさせませんよ」

「私も今の仕事で満足してますので」

「海外生活が長いと日本語が懐かしくなる。今日は絵里菜さんに会えるのなら参加して正解だった。絵里菜さん。私との交際のことを前向きに考えてくれましたか。父も母も絵里菜さんなら何も文句はないだろうし」
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