晴れのち曇り ときどき溺愛
 琉生は私に話が終わったと同時にパソコンの電源を落として緩めていたネクタイを少し締めながらスイッチを切り替え仕事モードになる。

「客先に行ってくる。取引が上手く行ったら手伝って。面倒なのは苦手だから」

「なんで私?」

「梨佳と一緒に仕事するのは楽だからに決まっているだろ。契約に持ち込んだら梨佳も客先に一緒に行くからそのつもりで」

「私も仕事あるんだけど」

「梨佳の仕事を俺が手伝うからそれでいいだろ。じゃ、行ってくる」


 琉生は書類をバッグに入れると軽く手を振ってから営業室を出ていってしまった。入社してからずっと一緒に並んで仕事をしてきているから、琉生が一緒にというのも分からないではない。琉生の手伝いをすることによって付随で成績があがっていくのはちょっと…悔しくもある。

「溜め息吐いていたんだ」


 どうしてもあの二週間前のお見合いのことを思い出してしまう。そして、それが琉生の指摘の溜め息になるのだろう。もう会えないと思えば思うほど会いたくなった。

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