晴れのち曇り ときどき溺愛
『明日の夜に時間取れるか?話したいこともあるし』

 用件だけのメールに琉生らしさを感じながら携帯の画面を見ていた。明日ならそんなに忙しくはないから一緒に出掛けることも出来そうだと思った。プロジェクトの会議がいつ入るか分からないけど、琉生に私も話したいことがあった。いっぱい心配を掛けたけど、もう大丈夫だって。


『多分大丈夫だと思う。急な仕事が入ったらその時はゴメン』

『その時は連絡してくれたらそれでいい』


 同じ会社に居るのにこんな風に時間を作らないと話せないんだなって思う。近くにいた存在だったから、話があれば営業の報告書を書きながらでも出来たのに、今は何か話そうと思ってもこんな風にメールのやり取りをしないと話すことも出来ない。課が違っただけではない、フロアが違ったことが大きかった。


「前に頼まれていた結婚式の二次会のことかな」

 私は途中になっていた資料室での作業の続きを始めた。合併当初よりは整理整頓が済み格段に探しやすくなっている。そのお蔭で私は思ったよりも早く自分の席に戻ることが出来た。営業室に戻るとそこには見城さんだけがいた。
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