晴れのち曇り ときどき溺愛
「これ以上ないくらいに頑張っている。梨佳が傍に居て一緒に仕事していた時よりも今の方が仕事は厳しい。合併して新しい取引先も増えたし、毎日が戦場の様だと本気で思うよ。それは俺だけではない」


　営業に残った人も何人も辞めていると聞いている。あまりの環境の変化について行けなかったものもいる。そんな中で琉生は頑張っている。同期の活躍は嬉しいし、それに負けないようにと私も頑張ってきた。


　テーブルに並ぶ料理を食べながら私は琉生と色々な話をした。琉生も環境が変わり苦労をしながらも頑張っている。それは琉生の言葉の端々に感じさせられた。この前、同期で会った時には言わなかった琉生の気持ちだった。

「琉生も頑張っているんだね」

「これ以上ないくらいに今は頑張っている」

「琉生は自分のペースで仕事をする人なのにどうしたの？」


　琉生は合併前は自分のペースで成績を上げていくタイプで、それでも成績は優秀で上位を走っていたけど、今はどちらかというと突き抜けている。丁寧な仕事をするけど、それに今は強さも備わっている。

　同期ではしゃぎながら仕事をしていた琉生はそこには居なくて、私の知らないうちに琉生は人間的に成長していた。


「梨佳のせいだよ」

「私？」

「俺、梨佳が好きだ。一緒に働いている時からずっと好きだった。俺は梨佳の事が好きだから強くなりたいと思った」
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