晴れのち曇り ときどき溺愛
 琉生の言葉に私は目の前が真っ白になった。琉生はいつもの飲み会のように飲んでいるのにいきなりそんなことを言う。慌てていた私をチラッと見ても表情一つ変えない。


「琉生。いきなりどうしたの?」

「梨佳は俺のことどう思う?」


 同期であり今までは一番近くにいた琉生が私の事を好きだと言う。私が混乱しているのに、琉生は目の前にある魚介類のマリネの中に入っているイカを摘まみあげ、口に入れ、平然とビールを飲んでいる。


「どうって、琉生は琉生でしょ」


 琉生はフッと息を吐いてから私の方を見つめた。真っ直ぐな瞳の先には強い意思が見える気がした。


「俺がそういう意味で言ってないのは分かっているだろ。逃げるなよ」

「いきなり過ぎる」

「俺は梨佳が好きだ。だから、ずっと一緒に居たい」


 私も琉生の事が好き。一緒に居て楽しいと思う。一緒にいると頑張れる。そして、一緒にいると楽だとも思う。でも、何かが違う。何が違うのか分からないけど琉生の言っている好きと私の思う好きは違う。


「琉生のことは好きなの。こうして一緒にいて楽しいし、頑張れるし、一緒に居ると楽。でもね、琉生の思っている好きと私の琉生への思いは違う気がする」

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