晴れのち曇り ときどき溺愛
 琉生のことを恋愛の対象としてみたことはなかった。いきなりの告白&恋愛話が終わった後はいつもの琉生に戻っていて、話しているのはやっぱり仕事のことでいつもと変わり映えがない。

 私の頭の中はぐちゃぐちゃだった。


「ちょっと飲み過ぎた。でも、仕事の疲れは吹っ飛ぶな」


 一緒に駅までの道を歩きながら、いつも通りに話をする。そして、横を見ると綺麗な月明かりの中を歩く琉生がいる。勿論、嫌いじゃない。でも、多分、私が思う好きとは違う。自分の気持ちに明確な名前を付けることも出来ずに歩く私は何なのだろう。


「梨佳」

「ん?」

「俺たち同期でライバルだ。お互いに働く場所は違っても頑張ろうな」


 琉生はアメリカンフットボールをしていたから、身長も高くがっしりとした身体つきをしている。顔も笑うと可愛いと遥も言っていたし、性格は拳の折り紙つき。仕事も出来るし、上司からや同僚からの信頼も厚く。琉生のことを好きな女の子も社内に何人かいるのも知っている。

 琉生と恋をした方が私は幸せになれる気がする。
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