晴れのち曇り ときどき溺愛
 揺れる電車の中で考えるのは琉生のことだった。今日のタイミングで『好き』だと言われるとは思わなかった。琉生はずっと傍にいて私の中では大事な人で、これからもきっと私の中で大事な人であるのは変わらない。

 明るく前向きで一緒にいると楽しい琉生のことは好きだと思う。でも、その好きというのは友だちとしての好きで…さっき琉生が私に言った意味の『好き』とは違う。


 頭のいい琉生のことだから、私の気持ちがそこまで育ってないことも知っている。それでも同期で友達の私とのラインを崩そうとしている。それは真摯な思いだというのは傍にいただけで分かった。

 でも、なんで今日なんだろう。

 下坂さんと間違えられたとはいえ唇を重ねたのも今日。琉生が私のことを好きだと言ったのも今日。朝から混乱し続けている私に追い打ちが掛かかった気がした。

『私の幸せ』ってなんなのだろう。

 私は自分の心の答えを出せないまま、眠れない夜を過ごした。

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