晴れのち曇り ときどき溺愛
 金曜日は何も用事が入ってなかった。というよりも昨日の琉生の事があって、何も考えられないというのが本音だった。でも、仕事となると特に用事がないので断るわけにもいかない。それでなくても今の私は下坂さんと見城さんのお荷物状態だった。

 システム課に来て習った基礎を展開しての新しい仕事だから、思うようには出来ないし、いつも止まってしまっては下坂さんと見城さんに教えて貰っている。


 聞きたいところもあるし、教えて欲しいところもある。


「大丈夫です。店はどうしますか?どこか予約しますか?」


「今回はプロジェクトの絡みがあるから、情報が洩れても困るのでどこでもいいわけではない。それなりにセキュリティがしっかりした場所をこちらで用意する。何か食べたいものがあったら、その系統の店にするけど、希望はある?」


「いえ。特には。あの、資料とかも持ち出しますか?」


「資料は見城が準備するものだけで終わらせる。あまりたくさんの資料を持ち出すのはセキュリティの関係からも好ましくない。諸住さんは何も持って来ないでいいよ。でも、スケジュールの管理はするのでメモかノートくらいは用意して貰いたい」

「はい。わかりました。店や時間が分かれば教えてください」

「ああ。その時は早急に連絡するから」


 下坂さんとそんな話をしていると、見城さんと井上さん。少し遅れて絵里菜さん。そして、始業時間ギリギリになって斉藤さんが入ってきて一気に営業室は騒がしくなる。その騒がしさに私はホッとしていた。
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