晴れのち曇り ときどき溺愛
 得意先に挨拶に行き、今期の見込みを探そうと勢い付いていったものの見事に不発。

 営業は社用車で動くことが多い。でも、場所によっては公共の交通機関を使うこともあり、今日はバスを使った。電車でもバスでも乗っている間はいいけど、駅やバス停から得意先までは歩くことになるからどうしようもないくらいに暑い。そして、残念なくらいに訪問した先の事務所は暑かった。


 営業スマイルを顔に張り付け、肌には汗で湿ったブラウスが張り付く。エコがブームとはいえ、もう少し冷房を効かせてくれたら仕事の効率も上がるのではないかと思ったりもする。その上、アポを取っていた社長は留守だった。連絡が行き違いという不運にガッカリした。事務員さんも申し訳なさそうにしてるから、仕方ないんだけど…。

『本当についてない』

 そんなことを考えながらバッグの中から書類をだしていると、バッグの中に入れていた携帯が震える音が聞こえた。画面を見つめるとそこには私を綻ばせる文字が並んでいる。嬉しいと思う反面。どうしたのだろうとも思った。


『久しぶりにランチしない?』
< 3 / 361 >

この作品をシェア

pagetop