晴れのち曇り ときどき溺愛
 別れて一年以上もなるのに琉生が元彼のことを言ってくるとは思わなかった。確かに別れた後は寂しかったし同期の飲み会で何度も愚痴ったことはある。でも、今は玲奈の代役でお見合いに行った時に出会った進藤さんが忘れられない。

「違う」

「それならいい。梨佳がずっと好きだったの知っているし、別れたのも嫌いとかではなかったのも知っているから後悔しているのかと思った。恋愛は梨佳の自由だけど同期としては溜め息を吐かれると心配する。俺でよければ、梨佳の悩みくらい聞けるし支えになる」


「あり…が…」


 私は最後まで言葉を発することが出来なかった。サラリとした髪を掻きあげて私と琉生の後ろを通り過ぎそうになりながら、私に気付いたのか視線が刺さる。そこにいたのは私が玲奈の代わりにお見合いをした相手の進藤さんだった。


 彼の視線は私を捉え、目を見開いている。あの時のスタイリッシュなスーツとは違い、シャツにジーンズというラフな服装の進藤さんは私に近付いてくると低い声を響かせた。


「まさか、こんな場所で会えるなんて」

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