晴れのち曇り ときどき溺愛
下坂さんと私を乗せた車は決まった行先もなく動きだす。車に流れる音楽は洋楽で優しいメロディだった。洋楽が好きなのか、それともなんとなく聞いているのか?
私は下坂さんの事を殆ど知らない。あのお見合いの時とパーティの時。それ以外は仕事の時しか私は知らない。
でも、私は拳から聞いたことを聞くつもりはなかった。下坂さんも聞かれたくないだろうし、それは分を越えていると思う。運転席に座る下坂さんは何を考えているのか、静かに真っ直ぐ見つめ運転をしている。
車は一般道をスルリと抜け、首都高速に入る。光の波に身を投じるように流れに乗ると真っ直ぐ西に向かって行く。どこまで行くのか分からないけど全て下坂さんに任せることにした。一時間という時間でどこまで行けるか分からないけど、どこまでも一緒に行きたいと思った。
「洋楽好きですか?」
「好きだよ。ぼーっとしながら聞いていると仕事で嫌なことがあっても忘れられる。仕事は好きなんだけど、たまに嫌になる。そんな時は車を走らせていると気持ちが楽になる」
静かな沈黙を繋ぐように零れた私の小さな言葉に、洋楽のワンフレーズに乗せたように下坂さんの声が車内に響く。優しいメロディにも負けないくらいに優しい声は私をドキドキさせた。ただ、話しているだけなのにそれでも私は心が惹かれていく。
「下坂さんにも嫌になる時あるんですね」
「上手く行かないのは誰にでもあるだろ。そういう時は逃げたくなる」
私は下坂さんの事を殆ど知らない。あのお見合いの時とパーティの時。それ以外は仕事の時しか私は知らない。
でも、私は拳から聞いたことを聞くつもりはなかった。下坂さんも聞かれたくないだろうし、それは分を越えていると思う。運転席に座る下坂さんは何を考えているのか、静かに真っ直ぐ見つめ運転をしている。
車は一般道をスルリと抜け、首都高速に入る。光の波に身を投じるように流れに乗ると真っ直ぐ西に向かって行く。どこまで行くのか分からないけど全て下坂さんに任せることにした。一時間という時間でどこまで行けるか分からないけど、どこまでも一緒に行きたいと思った。
「洋楽好きですか?」
「好きだよ。ぼーっとしながら聞いていると仕事で嫌なことがあっても忘れられる。仕事は好きなんだけど、たまに嫌になる。そんな時は車を走らせていると気持ちが楽になる」
静かな沈黙を繋ぐように零れた私の小さな言葉に、洋楽のワンフレーズに乗せたように下坂さんの声が車内に響く。優しいメロディにも負けないくらいに優しい声は私をドキドキさせた。ただ、話しているだけなのにそれでも私は心が惹かれていく。
「下坂さんにも嫌になる時あるんですね」
「上手く行かないのは誰にでもあるだろ。そういう時は逃げたくなる」