晴れのち曇り ときどき溺愛
　絵里菜さんの話を聞きながら胸の苦しさは押さえきれない。それならば聞かなければいいのにと自分でも思う、

　絵里菜さんは幼馴染で政略結婚の上に、その人のことを好きになるなんて幸せな人だと思う。生まれも育ちもそして容姿も全てに恵まれた人がいる。優しい性格で一緒にいると楽しい人は私の好きな人の幼馴染であり、婚約者。

「絵里菜さんなら大丈夫です」

「だといいのですが」

　絵里菜さんと別れ、自分の部屋に戻っても考えるのは下坂さんと絵里菜さんのことだった。お互いにいい関係であって、幸せになろうとしている。ピアノの音色は切なく私に涙を浮かばせた。マンションの部屋の窓から外を見ると綺麗な月が空に浮かんでいる。


『お疲れさま。今日、隆二の店で諸住さんを見たよ。ピアノのリクエストがあって席を離れられないうちに帰ったんだね。少し話をしたいと思っていたので残念だった。明日から出社するのでその時にゆっくりと話したいと思っている」

　メールの差出人は下坂さんだった。ピアノを弾きながら私に気付いていたようだ。それなら進藤さんの話も聞こえていたのだろうか？

　
　琉生の私への真剣な思いを聞き、進藤さんからはデートに誘われ、そして、絵里菜さんは婚約者である下坂さんのことを好きだと聞いた。

　そして、私はメールの返信も出来ずにただ携帯を握りしめて眠った。
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