晴れのち曇り ときどき溺愛

流れゆく季節の中で

　眠れない夜を越えた朝はいつもより静寂に包まれているように感じた。昨日のことを思い出すと溜め息が零れる。今日、下坂さんは久しぶりに出社する。

　下坂さんに会うのが嬉しいのに辛いと思う複雑さに包まれる。

　会社を休むなんて私の中に選択肢はなく…。いつもの通りに出勤した。溜め息ばかりは零れるのを抑えることは出来ないけど、それでも毎日の生活と同じだった。


「おはようございます」

　営業室に入るとそこには下坂さんの姿があって、私が入ってきたのに気付くとニッコリと微笑んだ。

「おはよう。諸住さん。長く休んで申し訳なかった。見城が出社してからプロジェクトの会議をするのでそのつもりで」

「はい」

　聞きたいことはいっぱいあるけど、ここは仕事をする場であって、下坂さんの個人的なことを聞く場所でもないし、私が個人的なことを言う場所でもない。私は自分の席に座るとプロジェクトの会議のために資料を準備した。皆が出社してきて、下坂さんがいるだけでこんなにも営業室が活気づく。

「朝礼を始める」

　下坂さんの声で始まった朝礼は仕事の進捗状況の確認だったが、最後に応接室でこの二週間のことで個別面談をすると言われたのだった。
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