晴れのち曇り ときどき溺愛
「諸住さん。そろそろ行こうと思うけど準備は出来たかな?」
下坂さんと二人だけになりたくなかったけど、進藤商事としか書かれてなかったホワイトボードにはいつの間にか時間まで書き込まれてあって、下坂さんが進藤商事にアポを取ったということだった。
進藤商事には勿論、進藤さんがいる。
絵里菜さんと一緒に食事をして一緒に飲んだのは昨日のこと。そして、一緒に食事をとも誘われて断ったばかりなのに会うのは気まずい。でも、それはプライベートであって、今からは仕事で行く。
「はい。大丈夫です」
得意先に行く準備は出来たけど、心の準備は全く出来てない。そんな私に気付いているはずなのに、下坂さんは何も言わずにニッコリと笑った。
「じゃあ、行こうか」
社用車で行くと思ったけど、私が乗せられたのは下坂さんの個人の車だった。個人の車で営業に行くことは多々あるけど、それでも今日は二人でいるのは気まずい。ハンドルを握る下坂さんはいつもと殆ど変らない。
「進藤商事にシステムの導入が出来ると思いますか?」
「半々かな。隆二だけではなく、あそこには煩いオヤジがいるから。隆二と絵里菜の父親は熱血な人だよ。隆二と絵里菜は母親似だからよかったけど、父親は一緒に酒を飲むと面倒なタイプ。成人した時に隆二と二人で飲みに連れて行かれ、初めての飲みで潰された」
「豪快な方なんですね」
「豪快というか、子どもがそのまま大人になったような人だ。母親がまともだからいいけど、あのオヤジだけだったら、会社も傾く」
下坂さんと二人だけになりたくなかったけど、進藤商事としか書かれてなかったホワイトボードにはいつの間にか時間まで書き込まれてあって、下坂さんが進藤商事にアポを取ったということだった。
進藤商事には勿論、進藤さんがいる。
絵里菜さんと一緒に食事をして一緒に飲んだのは昨日のこと。そして、一緒に食事をとも誘われて断ったばかりなのに会うのは気まずい。でも、それはプライベートであって、今からは仕事で行く。
「はい。大丈夫です」
得意先に行く準備は出来たけど、心の準備は全く出来てない。そんな私に気付いているはずなのに、下坂さんは何も言わずにニッコリと笑った。
「じゃあ、行こうか」
社用車で行くと思ったけど、私が乗せられたのは下坂さんの個人の車だった。個人の車で営業に行くことは多々あるけど、それでも今日は二人でいるのは気まずい。ハンドルを握る下坂さんはいつもと殆ど変らない。
「進藤商事にシステムの導入が出来ると思いますか?」
「半々かな。隆二だけではなく、あそこには煩いオヤジがいるから。隆二と絵里菜の父親は熱血な人だよ。隆二と絵里菜は母親似だからよかったけど、父親は一緒に酒を飲むと面倒なタイプ。成人した時に隆二と二人で飲みに連れて行かれ、初めての飲みで潰された」
「豪快な方なんですね」
「豪快というか、子どもがそのまま大人になったような人だ。母親がまともだからいいけど、あのオヤジだけだったら、会社も傾く」