晴れのち曇り ときどき溺愛
「梨佳って。お前と諸住さんはそんな関係ではないだろ。俺は諸住さんが可愛いと思ったから誘っただけだよ。別にその件で春臣に言われる筋合いはない」

 進藤さんが梨佳って言いだしたから、この辺りからプライベートに突入したらしい。さっきまでのお互いに引かない徹底抗戦のような場面とは違って今は仲のいい友達としか見えない。それも話の内容は中学生レベルだった。二人のイケメンと言っても過言ではない二人の話が余りにも幼すぎた。


「女に振られたからって、何で梨佳なんだ。俺が梨佳のことを好きなのを知っているくせに」

「恋愛は自由だろ。諸住さんが好きな人と付き合えばいいだけだし」


 進藤さんは婚約者がいるとは聞いていたけど振られたらしい。

 私はどうしてここに居るのだろうかと思ったけど、つい、二人のやり取りを聞いていて、フッと笑ってしまった。本当に仲がいいからここまで自分を曝け出しての話が出来るのだろう。それにしても下坂さんの中では私が既に下坂さんのことを好きということになっているらしい。

 確かに好きだけど堂々と言われるとどうしていいか分からなくなる。

「お前だって、あの婚約者候補たちはどうする?それに比べたら俺は今はフリーだし。誰と恋愛しても文句を言われる筋合いはない」

「婚約者候補ってだけでそれは決まったことではない。とりあえず、あの親が文句を言えなくなるくらいまで力をつける。自分の好きな女と一緒になれないなら、名前も家も捨ててもいいが、俺にも責任というものがある。それに梨佳だって、祝福され、認められてから俺の妻になった方がいいだろ」
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