晴れのち曇り ときどき溺愛
「実質的な支配者なら何で解雇されるんですか?」
「それは室長しか分からない。解雇だから、荷物を全部箱詰めして室長のマンションに届けないといけないから手伝ってくれる?」
「どういうことですか?」
「仮にもシステム管理課の室長をしていた人だよ。会社の機密情報を持ち出さないように私物だけをマンションに届ける。辞令が出る前から室長は身の周りの整理をしていたらしく。そんなに荷物もないんだけどな」
見城さんは大きな溜め息を零しながら、室長の机の中から荷物を出して行く。机の中にあったのは会社で持たされている携帯とIDカード。文房具とかノートはあるけど、私物らしい私物はなかった。
「室長らしいな。綺麗に片付いている。あ、でも、これは忘れ物かな」
見城さんはフッと肩を落としながら呟いた。手には下坂さんの愛用してた万年筆が一本だけ残っていた。これでサラサラと手帳を書いていたのを何度か見たことがある。
「見城さんはこのことを知ってましたか?」
「解雇になるってこと?」
「はい。室長が解雇になったのに淡々としているから」
「知っていたよ。でも、俺は室長を信じている。だから、何も心配していない。万年筆か。ねえ、諸住さん。今日の帰りに室長のマンションに寄って、ポストに入れておいてくれないかな」
「それは室長しか分からない。解雇だから、荷物を全部箱詰めして室長のマンションに届けないといけないから手伝ってくれる?」
「どういうことですか?」
「仮にもシステム管理課の室長をしていた人だよ。会社の機密情報を持ち出さないように私物だけをマンションに届ける。辞令が出る前から室長は身の周りの整理をしていたらしく。そんなに荷物もないんだけどな」
見城さんは大きな溜め息を零しながら、室長の机の中から荷物を出して行く。机の中にあったのは会社で持たされている携帯とIDカード。文房具とかノートはあるけど、私物らしい私物はなかった。
「室長らしいな。綺麗に片付いている。あ、でも、これは忘れ物かな」
見城さんはフッと肩を落としながら呟いた。手には下坂さんの愛用してた万年筆が一本だけ残っていた。これでサラサラと手帳を書いていたのを何度か見たことがある。
「見城さんはこのことを知ってましたか?」
「解雇になるってこと?」
「はい。室長が解雇になったのに淡々としているから」
「知っていたよ。でも、俺は室長を信じている。だから、何も心配していない。万年筆か。ねえ、諸住さん。今日の帰りに室長のマンションに寄って、ポストに入れておいてくれないかな」