晴れのち曇り ときどき溺愛
素直になれない私に下坂さんはとっても優しく甘かった。独身の男の人の一人暮らしの部屋に行く理由がケーキだなんて実際にはないのは分かっているはずなのに『ケーキ』という逃げ道をくれる。会いたいと思っている私にくれた優しい逃げ道に私は…。『ケーキ好きです』といってしまった。
電話の向こうで下坂さんはフッと小さく息を吐いた。
『待ってるから』
『今から行きます』
私は電話を切るとホームから階段をゆっくりと降りた。改札を出て、駅のエントランスを急いで歩く。次第に速度が増していく。目の前には下坂さんのマンションが聳え立ち、私が来るのを待ってくれているような気がした。
走りながら息が切れている。でも止まれない。幸せをどうしても掴まえたいという思いが私を衝動させる。私は下坂さんに向かって走っていた。
高層マンションの入り口に人影が見え、そこには私の好きな人がいた。走ってきた私は下坂さんの目の前で立ち止まると息の整わない私を下坂さんはキュッと抱き寄せ包みこんだ。
「走ったのか?」
「はい」
「おいで。俺の部屋に…」
下坂さんの甘い声に頷くと意地を張っていた自分がどこかに消えていく気がした。ただ、今は下坂さんの傍に居たいと思った。
電話の向こうで下坂さんはフッと小さく息を吐いた。
『待ってるから』
『今から行きます』
私は電話を切るとホームから階段をゆっくりと降りた。改札を出て、駅のエントランスを急いで歩く。次第に速度が増していく。目の前には下坂さんのマンションが聳え立ち、私が来るのを待ってくれているような気がした。
走りながら息が切れている。でも止まれない。幸せをどうしても掴まえたいという思いが私を衝動させる。私は下坂さんに向かって走っていた。
高層マンションの入り口に人影が見え、そこには私の好きな人がいた。走ってきた私は下坂さんの目の前で立ち止まると息の整わない私を下坂さんはキュッと抱き寄せ包みこんだ。
「走ったのか?」
「はい」
「おいで。俺の部屋に…」
下坂さんの甘い声に頷くと意地を張っていた自分がどこかに消えていく気がした。ただ、今は下坂さんの傍に居たいと思った。