晴れのち曇り ときどき溺愛
「公私混同です」

「だよな。だから、見城に言われた『三か月で物にならなかったら配置換えさせます』って。アイツは容赦ない男だから、梨佳に対しても厳しかったろ。あれがアイツの優しさだけど勘違いされがちだ。でも、梨佳は見城にも認められたからプロジェクトにも入ることが出来たんだよ」


「そうなんですか?」

「ああ。見城は仕事に対して厳しいのにプロジェクトの一員に梨佳を指名してきた。俺は正直驚いたよ。見城の認識も梨佳の成長も」


 見城さんは厳しい。でも、教え方は的確だし、ミスもきちんと指摘し、もっといい形でシステムが組めるようにと根気強く教えてくれた。そんな見城さんに認められていたというのは嬉しいことだった。


 私を取り巻く色々なことが下坂さんの口から語られていった。途中で『腹が減ったな』という下坂さんの言葉で自分が昼から何も食べてないことに気付いた。しばらくして届いたピザを食べ、少しのワインで喉を潤し、また、何度もキスをした。そして、少しの酔いが回った時に私はどうしても聞いてみたかったことを聞いた。

「絵里菜さんはどうするんですか?」

「どうもしないよ。絵里菜とだけでなく、今の俺には婚約者も婚約者候補も居ない。梨佳のことが好きなのに他の女と結婚するわけないだろ。それに絵里菜には好きな男がいる。見城だよ」

「見城さん?」
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