晴れのち曇り ときどき溺愛
 今まで恋もしたことあるし彼もいた。でも、どこか冷めている私がいて恋をしているはずなのに彼よりも友達や仕事を選らんだこともある。時間が経つにしたがって褪せた恋は自然消滅となった。仕方ないと自分で言い聞かせ、それなりに胸も痛めた。オトナの恋の終わらせ方をした私が今は自分の心さえも自由に出来なくなっていた。

 下坂さんのシャツを着てドキドキしながらベッドの端に座るしか出来ない私を昔の私が見たらどう思うだろうか。

「梨佳」

 寝室のドアが開けられ、暗い寝室に入ってきた下坂さんは私の横に座ると抱き寄せ、そのまま押し倒した。ポスンと弾むスプリングに身体を預けるとキュッと身体が固くなった気がした。

「梨佳。身体が冷えてる。何でベッドに入っておかないの?」

「恥ずかしいから」

 私がそういうと、下坂さんは身体を動きを止めた。そして、金縛りに一瞬なった後にフッと私の身体に自分の重さを重ねてきた。

「可愛すぎること言ってマジで俺を殺す気?せっかく俺が必死にシャワーを浴びながら我慢してきたのが無になる」

「え?」

「梨佳も色々あって疲れているし、今の俺は正直、梨佳を優しく抱ける自信もない。だから、今日は俺は梨佳の抱き枕と思っていい。明日の朝、仕事に行く前に自分の部屋に帰りたいだろ。だから、もう寝よ」

 そういうと下坂さんは私をベッドの中に入れると自分の腕の中にキュッと抱き寄せた。
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