晴れのち曇り ときどき溺愛
「ひゃ!!」

 下坂さんの悪戯に出たことのない様な変な声が出てしまった。自分の耳を押さえて下坂さんを睨むと、ニッコリと笑いながら私の額に唇を落とした。

「俺もいつまでも紳士で居れないから、寝室に戻って寝なさい。指輪は別にエンゲージとかではないから気にしないでいい。俺はいいが、梨佳は結婚とか無理だろ。ただ、俺の選んだものを身に着けて欲しいだけ。梨佳が俺と結婚してもいいと思ってくれたら、嬉しいけどな」

「可愛いし、綺麗です」

「気に入った?」

「はい。ありがとうございます。大事にします」

 そう言ってクスクス笑いながら私の身体を軽く抱き上げ、そのまま寝室に向かって歩き出した。フワフワと身体が浮いて、私は下坂さんの首に腕を回した。キュッと自分の腕に力を入れると下坂さんの鼓動を感じた。私と同じくらいにドキドキしていた。

「ほら、寝るぞ。梨佳は仕事だろ」

「下坂さんが風邪を引きます」

「だから、梨佳を大事にしたいと思っているのを分かって。俺も自分の事を抑える自信ないから」

「一緒に寝ちゃダメですか?」

「俺の言ってる意味分かるよね」

「愛されたいんです。春臣さんに」

 下坂さんは私をベッドの上に降ろすと、私の身体を跨ぐように膝立ちになり、自分の着ていたシャツを無造作に床に脱ぎ捨てた。そして、私の身体を抱きしめると、私の唇に自分の唇を重ね、甘い吐息を漏らした。

「愛しているよ。梨佳」
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