晴れのち曇り ときどき溺愛
 二人でベッドにもつれ込むように抱き寄せ、唇を何度も重ねていくと次第に身体の奥底から熱が込み上げて行くのを感じた。下坂さんは私の身体から服を取り去っていき、素肌の温かさで包んでいく。触れられた指先から、唇の先からまたゆっくりと身体も心もほどけて行くのを感じた。

「好きだよ。梨佳。愛してる」

 身体中に唇を落としながら愛を囁く下坂さんに私は酔っていき、溺れ落ちて行く気がした。指を絡め、身体に汗を纏わせながらの時間は次第に愛を言葉ではなくて身体で表現していく気がした。


 下坂さんと身体を重ね一つになり揺さぶられ抱きしめられながら涙を流す私は…。何度も恥ずかしい声で鳴かされた。でも、それは激しくあったけれど身体中を駆け抜けような甘い痺れが堪らなく熱を弾けさせた。

 真っ白になるほどに苦しくなるほどにぶつけられる愛を身体中に心に感じた。好きがたくさん集まるとこんなにも激しくなるものだと初めて知る。

 私は下坂さんの腕に頬を寄せ、整わない息を我慢することなく甘さに浸っていた。下坂さんは私の右手をそっと持ち上げると薬指からスルリと指輪を抜き去り、左手の薬指にゆっくりと嵌めた。

「俺と結婚してください」

 溺れるように抱き合った後で私の身体はまだ息も整ってない。

「いきなりすぎ」

「自分でも可笑しいって思う。でも、梨佳をこの手で抱いたら一生守ってやりたいって思った。梨佳。もう、御曹司という肩書もないし、室長という肩書もない。今は自分の身体だけしかない。それでもいいと思ってくれるなら俺と結婚して欲しい」
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