晴れのち曇り ときどき溺愛
 見城さんの含みに気付いたのは三か月後のことだった。

 外堀を埋められ、私は自分のマンションを引き払い、下坂さんのマンションで生活を始めていた。下坂さんのマンションは元々がファミリー向けで私が引っ越してきても何の不都合もなかった。甘い生活の中では腰が痛かったり、身体が怠くて仕事に身が入らないこともあるけど、それなりに幸せに暮らしている。

 まだ、婚約期間は続行中だけど、左手の虫除け…いや、豪華な指輪もシンプルなマリッジリングに代わる日も近い。

 でも、下坂さんが専業主夫だったのは本当に短い期間だった。

 下坂さんは御曹司でもなく、室長でもなく。私達システム課を全員引き抜いて新しく会社を立ち上げた。そう、下坂さんは『社長』になった。社長になった下坂さんの下で私はシステム課の営業として今日も頑張って働いている。会社での顔は本当に厳しくて怖いけど、マンションに戻ると私をどうしようもないくらいに甘やかしてくれる。


 私だけを甘やかす下坂さんも好きだけど、仕事をしている時の下坂さんがとっても好き。一緒に仕事をしていても他の人と変わりなく容赦はない。でも、机の上に置かれた缶コーヒーに愛を感じる。資料を読みながら、パソコンを打っている横顔を見ながら私は仕事に励む。


「みんな揃ったか?では、朝礼を始める」


 大好きな婚約者の声を聞きながら私はピリリとした空間に愛を感じていた。

 TheEnd
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