晴れのち曇り ときどき溺愛
 メールの差出人は五条玲奈(ごじょうれいな)。そして、受取人は私。諸住梨佳(もろずみりか) 27歳。

 メールをみて口角をあげたのは自然のことで、早速、『了解』との返事をする。さっきまでの暑くて憂鬱だった気持ちも一掃され、私はタブレットで書きかけの稟議書のファイルを開いた。キーボードの上を動く指は軽やかなリズムを響かせていた。


 怜奈からの二通目のメールには『ランチの場所』が入っていて、私と玲奈がお気に入りのカフェのランチメニューの写メが来ていた。社員食堂でもよかったけどカフェの方が数段嬉しい。カフェの人気ランチメニューは具たくさんのサンドイッチで、先にカフェに着いた方が日替わりのサンドイッチを頼んでおくのが私と玲奈の約束になっている。


 ドリンクも玲奈はアイスコーヒーのブラック。私はアイスカフェモカとこれも決まっている。

 仕事の関係上、客先から直接にカフェに向かう私が先に着くことが多い。だから、私がいつも注文はしておくのだけど、今日は私よりも玲奈の方が早く。すでにテーブルの上にはサンドイッチと私の好きなアイスカフェモカも頼んであった。

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