晴れのち曇り ときどき溺愛
営業室に入ると混乱の場と化していた。私は独身だから実家に帰ればどうにかやり直すことも出来るけど、実際に家族のいる人としてみれば私以上に切実だろう。
ブブブブブブ。
『五分後に非常階段の所に来て』
パソコンの横に置いてあった携帯が震え怜奈からメールが入った。琉生から聞かれたことで玲奈にとって分かったことを教えてくれるのだろう。私は五分後と言われたけど、待ちきれず廊下の端にあるドアから非常階段に出た。
金属の重たいドアを開けると猛烈な風が吹き込んで来てドアに引き摺られそうになる。ガタンと大きな音をさせてしまい、周囲が気になったがこんな慌ただしい時に非常階段に居る人なんていない。ゆっくりと閉めてから非常階段の踊り場に行くと誰かがコツコツと音を立てながら降りてくる音が聞こえた。私の目の前に綺麗なラインの足が映り、綺麗な顔が目の前にあった。
綺麗なのに、眉間にうっすらと消せない皺が刻まれた玲奈の顔は疲れていた。
「時間がないから手短に言うね。今回の取引は失敗に終わったのは本当。役席は責任を取って退社。倒産はしないけど、関連会社を含め全てがある企業に吸収合併になるから社員は選択を迫られる。でも、梨佳は大丈夫よ」
ブブブブブブ。
『五分後に非常階段の所に来て』
パソコンの横に置いてあった携帯が震え怜奈からメールが入った。琉生から聞かれたことで玲奈にとって分かったことを教えてくれるのだろう。私は五分後と言われたけど、待ちきれず廊下の端にあるドアから非常階段に出た。
金属の重たいドアを開けると猛烈な風が吹き込んで来てドアに引き摺られそうになる。ガタンと大きな音をさせてしまい、周囲が気になったがこんな慌ただしい時に非常階段に居る人なんていない。ゆっくりと閉めてから非常階段の踊り場に行くと誰かがコツコツと音を立てながら降りてくる音が聞こえた。私の目の前に綺麗なラインの足が映り、綺麗な顔が目の前にあった。
綺麗なのに、眉間にうっすらと消せない皺が刻まれた玲奈の顔は疲れていた。
「時間がないから手短に言うね。今回の取引は失敗に終わったのは本当。役席は責任を取って退社。倒産はしないけど、関連会社を含め全てがある企業に吸収合併になるから社員は選択を迫られる。でも、梨佳は大丈夫よ」