晴れのち曇り ときどき溺愛
 質疑応答とは言いながらも『また、後程連絡します』とか『現時点で確定的なことは言えません』いう言葉の繰り返しだった。怒声が大きくなりかけた時に男性秘書の淡々とした声で取締役での決定事項の報告会は終わってしまい、取締役が会議室を出ていってしまってからも会議室は混乱していた。


「倒産は回避されたし、大量のリストラや無理な配置転換はないということくらいしかわからないな。大量なというだけあって、リストラがないとは言ってないのが気になる」


「うん」

「俺らの立場も結構厳しいかもしれないな」


 営業室に戻った私と琉生は椅子に深く腰掛け、時計を見るともう少しで定時になる。何もしてないのに身体だけでなく精神的に疲れていた。ずっと席を外していた課長も席に戻ると、特に急ぎの用事がなければ帰っていいと言った。


「今日はもう帰る。どうせ、何もわからないだろうし疲れたし」

「飲みに行くか?」

「琉生の金欠は解消したの?」

「まあ、あんまり高いところは無理だけど、今月は忙しかったからあんまり飲みに行けなかった分お金はある」

「そっか。それなら行く」
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