晴れのち曇り ときどき溺愛
「難しそうです」

「結構勉強はしないといけないと思う。でも、営業補佐だから、人の仕事を見ながら勉強したらいい」


 見城さんはニッコリと笑っていうけど、営業補佐と言う言葉が胸の奥がまた痛くした。


「おはようございまーす」


 大きな声と共に入ってきたのはスーツがお世辞にも似合うとは言えない男の人だった。高校生が無理をしてスーツを着ているような風貌にワイシャツは首の一番上を一つ外し、ネクタイは緩めに締めている。髪は短めで前髪は少しだけワックスで遊ばせてある。


 見た目が異様に若い男の人が入ってきたのは間違いなかった。実際に若いのだろうけど若いというか幼い印象で絶対に年下だと確信した。


「うわ。マジで女の子?システム課に春が来た。システム課は男ばかりだったから社会人になったのにつまらないと思っていたんだ。見城さん。今日、歓迎会だよね」

「さあな」


 ニコニコと屈託のない笑顔を私に向けながら見城さんに話し掛けると、見城さんは自分の席に座り書類を見ながら返事をする。とりあえず返事をしたという感じで彼のテンションの高さを軽く受け流していた。


「え。新しい門出だし」

「歓迎会は室長が決めるから分からないけど、まあ、近いうちにするとは思う」

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